財布を落とした、家の前で。
きっと、逃げて行ったのだと思う。僕の手は好きじゃなかったのだろうか? 答はノーと言いたい、悪いのは僕だ。
自転車に放置プレイなどしなければ財布は僕の元から離れることもなければ、僕も胸のなかが3割気持ち悪くなってはいないはずだ。
ポテトに負けた、じゃがりこに負けた、まとめるとジャガイモに負けた。そんなこと財布に言いたくても言えない。負けてもないし、むしろ君はすごく大切にしてきたんだ。
ジャガイモは瞬間の快楽でしかない。でも君は僕の気持ちをいつも満たしてくれていた。あの手にフィットするあの感覚、革と革の間にベルトを入れ使うたびに味が出るようにと作られたミハラヤスヒロの財布。
かえってきませんか? まだ旅は途中だし、誰かにれいぷされてるなんて考えるだけでおぞましい…。中身はいらないので、財布だけでも…